Beranda / 現実ファンタジー / 高嶺に吹く波風 / 94話 人間に向ける心

Share

94話 人間に向ける心

Penulis: ニゲル
last update Terakhir Diperbarui: 2025-07-04 06:43:36

「そろそろ戻ってくる頃合いか?」

故郷の街で改造されたブローチを受け取りオレはまた地上に来ていた。メサとライには一応一報入れておいたが今は単独行動をさせてもらっている。

「ぜぇぜぇ……ここまで来れば大丈夫だろ」

心地の良いジメっとした橋の下で待っていると三人の若者の男達が息を切らしながら階段を駆け降りてくる。

「どうだった?」

「えっと頼まれた例の件ですよね? とりあえず撮影のついでにあの小型盗聴器部屋に着けようとしたんすけどその前に警察呼ばれちゃって。玄関とかリビングの入り口が限界でした」

(まぁ……期待もしていない凡人に頼んだんだからこれくらいで上出来か)

「ほら。約束の金だ」

人間はこれをやればすぐに喜び跳ね上がり、そして違法なことも平気でやる。オレは10000と書かれた紙の束を男達に手渡す。

「おぉ奮発良いなアンタ! えーと……百万くらいあるか? よっしゃ今日は焼肉でも行くか!」

キュアウォーターの家に行こうとしていたこいつらに頼んだ仕事。それは今後の動向を探るために盗聴器を仕掛ることだ。

オレ達は顔が割れてしまっており行ったらすぐに戦闘になる。それにこのブローチの力もまだ不鮮明だ。そんな状態で全員と、特にあの人外の虫野郎と戦うのは得策ではない。

「それにしてもアンタあの子のファン……というかストーカーなん?」

金を貰ってさっさと立ち去ればいいものの、男の一人がヘラヘラとした態度でこちらに突っかかってくる。

「お前達には関係ない」

「もし襲うんだったら連絡ちょうだいよ。俺達も混ぜて欲しいからさ」

「あーそういえば結構可愛かったな。二階から降りてきた子も良さげだったし」

ゲラゲラと笑い、不快な音が耳にこびりつく。

「確かに中学生だし締まりは良さそうだよな」

下品で汚らしい、オレの一番嫌いなタイプの人間だ。

「まっ、そういうことで何かするんだったらまた呼んでよ。教えたチャンネルにメッセ送ってくれればいいからさ」

去り際にこちらの肩に手をポンと乗っける。

「触るな……」

「あ? 何か言ったか?」

触れられたことで人間への憎しみが、彼らのような存在を消しておかなければという義務感が溢れてくる。

「いつまでも対岸に居れると思ってるお前らの馬鹿さ加減に呆れた」

「は? なんだよ急に……舐めてん
Lanjutkan membaca buku ini secara gratis
Pindai kode untuk mengunduh Aplikasi
Bab Terkunci

Bab terbaru

  • 高嶺に吹く波風   101話 終わらせ方

    「痛たたた……お尻打っちゃった……」 私はお尻を手で押さえながら痛みに悶える。波風ちゃんの方はぶつかる前に浮いたので大丈夫だったがこちらは少しの間走れそうにない。 「分裂……やっぱりお前ら二人合体してたってことなのか?」 「とにかく何があったか教えてくれる? 高嶺のあの姿やゼリルの使ってたブローチについてとか」 その場に居らず配信を見る暇もなかった生人君に何があったのかを事細かに説明する。私では語彙力が足らず波風ちゃんと橙子さんに頼りっきりになってしまったが。 「なるほどね……波風の存在は高嶺のブローチに注ぎ込まれた希望依存だって仮説だったから……それが影響している可能性が高いね」 しっくりくる説明と上手く言語化された文章だ。辻褄も合っていて矛盾もない。 「それでゼリルの使ってのは……」 生人君も察しがついたようで歯切れを悪くする。 「ごめんなさい……アタシがブローチを奪われたせいで……」 「波風ちゃんのせいじゃないよ!!」 自らを罰しようと自責する彼女を必死に止める。あれは私のミスで、そして一人の命を奪った罪だ。それを波風ちゃんにほんの少しでも背負わせるなんてことはできない。 「ん……? それより生人さんブローチは……キュアヒーローに変身するためのアレはどうしたんですか?」 橙子さんが指摘したことで私も気づく。生人君がブローチを付けていないことに。そもそもホテルで変身していなかった時点で不自然だった。 「実は……盗られてしまったんだ。君達が昨日戦ったあの二人に」 サメとクジラのようなイクテュスの二人組だ。生人君なら負けるとは思えないが、きっと卑怯な手段などを取られたのだろう。 「何かあっ……」 「いや、言い訳するつもりはないよ。全部ボクの力不足だからね。この失敗はボクがなんとかする……だから高嶺達は気にしないで」 慰めようとしたわけではないが、かけた声は弾かれる。 力量不足なはずがない。生人君の強さは合体した私達よりも上のはずだし経験なんて比べ物にもならない。 「生人君!!」 その態度に私は言いたくなることがあり、つい声を荒げて彼を驚かせてしまう。 「な、なに?」 「私達は仲間なんだから一人で考え込まないで。私もこの前辛かった時、幻覚に振り回されていた時生人君に助けられた……だから私も力になりた

  • 高嶺に吹く波風   100話 二人で一人

    まず私達は地面を凍てつかせ奴の足場を奪う。移動を制限することにより戦闘で有利にさせるのに加え、十数メートル先で膝を突く二人に攻撃の手が行かないよう牽制する。 「水と熱で氷か……面倒だな」 奴は転ばないようにかかとやつま先で滑りをコントロールしながら受け手に下がる。こちらは氷を自由自在に扱えるので、足元のものを弄り巧みに滑って加速し急接近する。 接近しながら即座に武器を槍に変えて突きを繰り出す。ギリギリで躱されるものの奴の表情に焦りが出始める。 「二人の力が単純に足された……だけじゃなさそうだな」 「当たり前だよ。私達二人はそんな単純な関係じゃない……!!」 私のこの中で燃え盛る力は注ぎ込まれた希望とは釣り合わない。それよりも更に多く、現在進行形で増え続けている。 「ならそれすらも叩き潰すだけだ!!」 奴は触手を展開させ私ではなく横の壁を突き刺す。それを頼りにしてテクニカルに動き予測し辛い軌道を描く。 そんな動きから放たれる鎌の位置は不鮮明で防御がままならない。細い槍ではなく銃に武器を変形させて防ぐがそっちに集中してしまい足がおろそかになり衝撃を受け止めきれず地面をかなり滑らさせる。 (やっぱ一筋縄ではいかない……か) [大丈夫高嶺!? 怪我ない!?] [ダメージはないよ! でもやっぱパワーは向こうに軍配が上がるみたい。ここまで押し除けられちゃった] 波風ちゃんと一つになったとしても今の奴は油断できる相手ではない。毒も効くだろうしきっと奴の全力の攻撃を叩き込まれたら再起不能となるに違いない。 [来るよ高嶺!!] 奴が凍てついていない部分を上手く伝ってこちらに接近する。銃で撃ち落とそうと応戦するものの触手を動かしてひらりと躱す。 奴との距離が半分程に縮まったあたりで壁の一部を曲がった氷に変え、そこに水圧レーザーを発射する。反射し奴の死角から迫るレーザーは虚を突き触手を数本を切り落とす。 「うおっ……!?」 奴はぐらりとバランスを崩し急いで追加で触手を壁に突き刺して落ちないようにする。だがその間にも三発レーザーを発射し奴の外皮を抉る。それでも硬く貫通まではいかず軽傷に留まる。 奴もそのダメージをくらったまま引き下がることなどせず、崩れたバランスのまま衝撃を受け流すように一回転した後鎌を縦に振り上げる。振り下ろ

  • 高嶺に吹く波風   99話 合わさる熱水

    波風ちゃんの右ストレートが奴の右胸に綺麗に命中する。しかし響く鈍い音は奴の胸からではなく彼女の手から出された音だ。 「何で殴った……? お前の方が怪我するのは目に見えているはずだ」 威力もダメージもなかったが、奴はその奇行と勇気に気を取られ私へ迫り来ていた鎌を止める。 「守りたいから……アタシの大切な人を……もう悲しませたくないから!!」 もう一度、今度は左拳で奴の顔面を殴りつける。奴は避けも受けもしない。する必要がないから。波風ちゃんは痛みによって表情を強張らせる。 「ならお前からだ……今度こそ殺してやる」 「ぐっ……」 鎌は私へ向けた標準を外し彼女の方へと切先をやる。 「やめ……ろぉ!!」 胸の出血を手で抑え、悲鳴を上げること身体を黙らせて奴の顔面に蹴りを入れる。 「なっ……!?」 この傷で素早く動けると思っていなかったのか、奴の油断を突いて蹴りは頭部を捉え退かせる。 「私は……守れなかった。だから……今度こそは守るんだ……もうこれ以上失わないために!!」 波風ちゃんに肩を貸しその手を取る。もう離さないために。希望を守るために。 「アタシもなりたい……ヒーローに、高嶺の希望に……!!」 彼女の手がキラキラと光り出す。淡く温かい光が広がっていき私の胸の傷に覆い被さっていく。 「傷が……治ってく……!?」 その優しさに私の体が反応し、胸の出血が止まり切り傷がどんどん塞がっていく。 「何だと……? 一体何が……」 まさかの急展開に奴は呆気に取られ攻撃の手が止まる。だが結局のところやることは変わらないのですぐに目つきが戻り鎌を振り上げる。 「アタシがなるんだ……高嶺の希望に!!!」 波風ちゃんが一頻り高い咆哮を上げた途端手から溢れていた光の粒子が全身からも出始める。それは私の胸へ、いやよく見るとブローチに集まっていく。 「ぐっ……眩しい……!!」 ブローチから放たれる輝きに奴は攻撃を直前で止めざる得なくなる。そして波風ちゃんの体は崩れ全てが光の粒子に変わり消滅する。 「えっ!? そんな……ど、どこ!?」 光が収まった後姿を消した波風ちゃんを探し辺りに目をやる。だが見つからず、歯を食いしばって奴の方に向き直る。 「お前それは……」 だが奴の見せた反応は不可解な

  • 高嶺に吹く波風   98話 立ち向かう勇気

    "キュアチェンジ"そう奴が唱えると辺りに水の塊が出現する。いや水ではない。弾力性のあるまるでゼリーのような球体だ。 それらがいつまにか人間の姿に戻り、中性的な私達とは少し違う衣装を身に纏った奴に張り付いていく。全身にゼリーの塊をくっつけたキュアヒーローがそこに誕生する。 「お前らのセンスに合わせるなら……キュアゼリーと言ったところか? 画面の向こうで見てる奴らも覚えとくんだな。これがお前らの希望を打ち砕く者の名前だ」 異質な空気が流れる。明らかに辺り一帯の雰囲気が変わった。張り詰め息苦しいものになる。まるで水に沈められたように。 「まさかそれって……」 奴はこの前波風ちゃんのブローチを剥ぎ取っている。そして自分達用に改造したのだろう。それは彼女の死をさらに踏み躙る行為で、私はそれがたまらなく許せなかった。 「オレもあいつらの真似でもしてみるか……」 奴は横にグッと手を伸ばす。そして全身から灰が溢れ右手に集まっていき、灰が泡立ち固形を成して命を刈る鎌へと変貌する。 「来る! みんな気をつけ……」 何をしてくるか読めないので一旦受けに回り構えようとした。だが奴の身体能力は私達の反応速度の更に上をいっており、距離があったのに奴が振り下ろした鎌を銃で受け止めるのがやっとだ。 「ぐっ……強い……!!」 イクテュスの力にキュアヒーローの力が上乗せされており、抑えることはできず段々と押されていく。 「こっちも無視しないでもらえるかな!!」 奴が私に気を取られている内に横からノーブルが突きを放ち、敢えて少し間を空けて逆サイドからアナテマも斧を振り下ろした奴の頭をかち割ろうとする。 「ふん……」 てっきり退くかと思ったが奴は私への攻撃をやめず、両サイドからの攻撃に対して少し体をズラす。ぷるんとゼリーの部分に刃物が当たり、武器はその弾力を突破できず滑り弾かれる。 「はぁっ!!」 そして二人の腕を掴みそれぞれの腹部に膝をめり込ませる。下手をしたら内臓にダメージが入ってしまうかもしれないほどのめり込み具合だ。 「二人と……」 一撃で膝を突かされた二人に一瞬注意がいってしまい、奴にほんの些細な隙を見せてしまう。 「隙ありだ……!!」 そして奴の鎌が一気に振り下ろされ、力負けし攻撃が私の胸を捉える。途端に視界いっぱいに広がる

  • 高嶺に吹く波風   97話 イクテュスのヒーロー

    カーペットに染み込み赤く染める鮮血。横腹で激しく主張する痛覚。 「え、だ、大丈夫ですか!?」 女の子が慌てふためいて傷口に手を伸ばそうとするが、ただの女子高生に刃物による傷の処置など分からず下手に触れずにおどおどする。 (メサとライは……逃げたか。時間稼ぎもってことか。それとこの包丁はメサだな……逃げる瞬間に攻撃の合間を狙って投げたのか) 「ボクは大丈夫だから君は早く外へ。外は安全だし君の友達も待ってるから」 この傷も痛いことには変わりないが慣れているし、弱ったとはいえボクの再生力ならすぐに治る。ただその光景をこの子に見せるわけにもいかないので安全な場所に避難するよう促す。 「い、いやだってその怪我……それに君見た感じわたしより歳下そうだし……やっぱりキュアウォーターが中学生って噂も……」 先日の、波風が殺された際の配信の件はキュアリン達が対処に当たっていたはずだ。だが情報を完全に統制することなど不可能だ。この子のように必ず漏れが生じる。 「それに君は……小学生?」 「えーとそれは……」 この容姿のせいで話がややこしくなってしまうが、今は事態が事態なのですぐにでも高嶺達と合流したい。手短に彼女を納得させ離れさせなければならない。 「これはボクのお願いなんだけど、キュアヒーローのことを、彼女達の素性とかが明らかになっても応援し続けてくれないかな?」 「えっ? それはどういう……」 「周りやネットの意見に流されずに……君は君のままキュアヒーローのファンで居てあげて。さぁほら行って!!」 彼女の鞄についてある非公式に作られたキュアヒーローのグッズ。それを見て彼女に一抹の希望を抱きこの場から逃げさせる。 (ブローチがないから通信ができない……足で探して合流するしかない……か) ボクは包丁を抜き傷を治し、みんなと合流するべくホテルを駆け回るのであった。 ⭐︎ 「アクアレーザー!!」 近くに逃げ遅れた人が居ないことを確認し、水圧レーザーを銃口から発射し薙ぎ払う。この狭い空間ではこれがかなり有効であり、知能のないイクテュス達は豆腐のように切り裂かれていく。 「よし! こっちも大体逃げ遅れた人を助けられたぞ!」 その間にアナテマとノーブルが避難誘導をしてくれて、とりあえずは見える範囲では人は居なくなった。だが火の手はま

  • 高嶺に吹く波風   96話 衰え

    「クソ…….こっちにもイクテュスが……!!」 高嶺達と別れてから十分程経ったのだろうか。ボクはホテルを荒らすイクテュスを倒して回っていた。 そんな中逃げ遅れたのか、高校生くらいの女の子が瓦礫に足を挟まれて動けなくなっていた。 「ひっ!!」 そして運悪くそこに一体のイクテュスが向かっていく。 (遠い……!!) 助けようと踵を返すものの距離がありすぎる。ボクは咄嗟に体にエビの力を宿し、背中を曲げて急加速し敵に突っ込んでいく。 「てやっ!!」 勢いを殺さず奴の腹に足を突き刺し壁にめり込ませる。灰がパラパラと落ち女の子の髪を汚す。 「大丈夫だった!?」 「は、はい! それよりまさか……キュ、キュアヒーローですか!?」 彼女はヒーローであるボクを、画面を通じて見ていたであろうキュアヒーローと認識し、幼い子供のように目を輝かせる。 「そうだよ。みんなのヒーロー、キュアパラサイター。いつも見てくれてありがとね」 彼女の目に応えるように、ボクは軽く自己紹介をしファンサービスしてあげる。 「わぁ……初めて生で見た……!!」 「それより早く逃げて。ここは危ないから」 「あっ、でも実は友達と逸れちゃって……」 「友達?」 「はい。遅刻して走って向かってたら外で怪物を見かけて、急いで駆け込んできて……やっぱり遅刻なんかしたからバチが当たったのかな……」 この火事とイクテュスの中一人で歩くのは非常に危険だ。それこそ先程のこの子のようになりかねない。 「君の友達はボクが絶対に助けるから君は安全な所まで逃げてて」 「は、はい……お願いします!」 憧れの人からの指示だったからか、彼女はすんなりと従ってくれてボクが倒してイクテュスが居ない道を通り外に逃げていく。 「絶対……か」 あの子を安心させるために言った言葉だが、根拠も信頼性もない上辺だけだ。間に合わない可能性もあるし、もう既に…… 「いや……違うでしょ……!!」 また駆け出し手当たり次第にイクテュスを倒していく。これ以上情けない自分を晒さないために。近い未来、いつかかつての仲間とまた会う時に胸を張れるように。 ⭐︎ 「止まりな!」 かれこれ十数体倒した頃、他のみんなも心配になりながら戦っていると突然背後から声を投げつけられる。 「はぁ……はぁ……ライとメサ

Bab Lainnya
Jelajahi dan baca novel bagus secara gratis
Akses gratis ke berbagai novel bagus di aplikasi GoodNovel. Unduh buku yang kamu suka dan baca di mana saja & kapan saja.
Baca buku gratis di Aplikasi
Pindai kode untuk membaca di Aplikasi
DMCA.com Protection Status